調剤薬局向け 経営戦略提言セミナー

去る2017年10月25日(水)八重洲フクラシアにて船井総研様主催の「調剤薬局向け 経営戦略提言セミナー」において弊社取締役並木直江が地域連携をテーマに「株式会社メデカルユニオンの取組み」を講演させていただきました。
 
全国から多数の調剤薬局様、また医薬品卸様も受講されており、講演終了後には活発に質疑応答もされ盛況でした。
【講演内容ダイジェスト】
オープニング
あまり「生き残り」という言葉は好きではありませんが、かかりつけ薬剤師がいる薬局として、その地のランドマークになっていかなければなりません。ランドマークになるには「連携」がキーワードになります。
メデカルユニオンの取り組みとして
1「認知症カフェ」
2「地域連携のネットワーク会議」
3「声かけ運動」
の3つがあり、具体的な連携先としては
・お年寄り相談センター(通称「おとセン」)
・訪問看護ステーション
・居宅診療所
・民生委員
・老人会
・社会福祉協議会
があります。
1「認知症カフェ」
私どもが開催する「認知症カフェ」は認知症の方を対象にしているわけではありません。認知症にならないための予防のカフェです。おとセンさんのバックアップもあり非常に信頼度も高く皆さんが足を運びやすい環境になるのではないかと考え東京都から予算を頂いてスタートしました。
 
弊社の薬局の1つがある商店街には「赤ニコ広場」というコミュニティ広場があります。ここを会場としスタートしました。毎月1回開催で内容は「認知症のお薬のこと」(薬剤師)「栄養の立場から認知症の関わり方」(管理栄養士)「メンタルクリニックの医師が語る認知症の話」そして最終回は落語家さんをお呼びして「笑いで認知症を吹き飛ばそう!」で締めくくりました。受講されたみなさんに喜んでいただき、盛況でした。
 
こういう取り組みは集客に最も苦労します。弊社は昔からの患者様とのおつながりが多くいろいろな方がご紹介・口コミで広めてくださっています。またリピートしていただくにはテーマを非常に興味深いものにすることが重要であり、やはり健康にはみなさん興味関心が強い事がわかりました。

 
2「地域連携のネットワーク会議」
地域連携ネットワーク会議というのは近隣のお年寄り福祉センター、包括支援さんが1年に2回ほど「地域ネットワーク」として開催しています。内容は事例検討がメインで参加者は非常に多岐に渡っています(銀行・鍼灸院・マッサージ院など)。
 
グループディスカッションが中心で、それぞれの立場から意見を述べて互いに情報を共有し、検討を重ねることによって、一人一人の患者さんに良いサービスを提供するということを図ることを趣旨に開催しています。この事例検討はかなり薬剤師にも参考になっています。だが現実は調剤薬局の参加はほとんどありません。
 
調剤薬局は老人会や地域包括の方たちが勉強会をしたいということに積極的にアプローチをすべきです。「薬局ってこういうことが出来るんです、私どもの方ではこういうことをしているんです」ということをお伝えしていかなくてはなりません。
 
もちろんこれは全部無償のボランティアではありますが、地域包括が今何を求めていて、何に困っているのか、薬局がその問題にどのように対応出来るのかということをコミュニケーションを図りお互いが助けあって地域のために出来ることを模索するといった一種共同体の心を地域包括と持っていくことが大切で、幾度となく繰り返しアピールをしていく、ということがキーワードです。
 
 
3「声かけ運動」
おとセン(お年寄り相談センター)さんと地域包括支援センターが一緒になって、積極的に認知症の方のサポートをしていく事業の一環として板橋区では初めて「声かけ」訓練をやろう、となりました。
 
「声かけ訓練」とは、グループを作り、認知症役の人がいてその人に対してどういう風に声をかけてあげれば良いのか?ということを実際に訓練していく、というものです。弊社は薬局が立地している商店街を利用した。認知症カフェもやっているため認知症に対して弊社が非常に広く受け入れ態勢が出来ているという判断がされたのではないでしょうか。
 
また弊社では板橋区「健康づくり協力店」にも薬局として初めて選ばれています。板橋区は健康づくりに協力しているお店を募集し区が斡旋する事業を行っており従来は飲食店しかありませんでしたが弊社の取り組みが評価され選ばれています。
最後に
生きた情報をいかに得てそれをいかに薬局に落とし込んでいくかというのが一番大事なことです。目先の利益ばかりを追求するのではなくて、地道な貢献をして、患者さんのために出来ることは何か、ということを常に頭に入れて、模索して事業をしていくということが、連携の第一歩になるでしょう。
 
認知症カフェにせよ、健康づくり協力店にせよ、日常の些細なことから発展して今日に至っています。
 
二宮尊徳の言葉に
「丹精は 誰しらずとも おのづから 秋のみのりの まさる数々」
(精進している人の仕事は誰にも見向きされなくても、時が来れば自ら結果として見えてくる)
という言葉があります。
 
いま、薬局が求められていることがよく表されている言葉です。
 
私は2代目経営者です。父が残したものをきちんと引き継ぎながらも、質の高いコミュニケーションを図り、地域に良きパートナーを作り、連携をしていきたいと思っています。
 
長い時間、ご清聴いただきありがとうございました。(拍手)